ひと昔前までは「今の若い子は怒られたことがない、その手のことに耐性がない、もうちょっと叱らないと」という言説がまかりとおっていました(最近の自衛隊の事件へのコメントを見ていると、未だそういうものが残っていることも現実です。)
しかしスポーツの現場では、軍隊方式の高圧的な指導では勝てなくなってきています。2つ事例を紹介します。
一つは高校野球。
「今の時代は厳しい指導ができないというわけではないのですが、子どもの頃からの育ち方が異なってきているので、やっぱり、手間暇をかけないといけなくなっています。昔は自分たちが受けてきたようにゲンコツ1発で、『よし、気合を入れて行くぞ』というのを自然と思ってやっていた。でもいまは一つ一つ対話をしていきながら教えていかないといけないのかなと思います」
もう一つは箱根駅伝の事例。
「厳しく指導していた頃は、選手たちが『監督に言われたことをやれないのが悔しい』という思いで練習を頑張っていました。でも、7年前くらいにはこちらが何を言っても感情が返ってこなくなり、『言っていることを聞いているのかな』と少し思うようになって。
『親子関係のような問いかけも必要なのかな』と、疑問を持たせたり、複数の案を示して〝子供たち〟が選択できるようにしました。
少し優しくなったといわれる大八木監督。
ある程度、年齢がいったら考え方を変えるのは難しいと思います。自分が50代〜60代になった時「考え方をアップデートして下さい」と言われてすぐできるかと言われれば、中々難しいです。
しかし何十年も、同じことを言い続けてしまっていることの重さを考えるべきです。
「最近の若い子は帰れと言ったらすぐ帰る」「本当おかしいですよね~」的な会話をしている間はまだよく良かったということです。若者に合わせて「指導者側が切り替えないと勝てない時代」になってきました。そんなことも言ってられなくなってきたと。
モノローグ的な(指導者からの一方通行のコミュニケーション)・軍隊方式ではなく、傾聴を主体とした指導が次の時代には必要です。