運動しているときうまく打てたりすると「あ、こん感じこの感じ」と感覚的にわかりますよね。この「これ」とは、筋肉のレベルでいえば筋感覚でしょうし、平たくいえば感覚です。五感の分類でいえば触覚ですね。
FWでタイミングの訓練や、位置の修正をある程度やっていくと「カン」が効いてきます。本当はこのタイミングだな、こう見えているけど本当はこのくらいだろう、という風に。あくまで受動的に意識では修正せず、予測し、そして勝手に修正されていく。これは脳にストックが溜め込まれているからです。
このときいちいち言語化はしていません。
球技スポーツ上達の万能の方法ーバウンドヒット法
テニスのコーチがいうには、実は万能のスポーツ上達法があるという。ところがこの方法を教えてしまうと、みんながうまくなってしまい、コーチが不要になってしまうからといって、そのコーチはこの方法を封印したという。
それがバウンドヒット法だ。
やり方はとても簡単で、ボールが地面でバウンドする瞬間とラケットでヒットする瞬間に合わせて「バウンド、ヒット」と口に出して(あるいは心の中で考えながら)打つというだけのものだ。(中略)
初心者はバウンドした点に近づきすぎて、バウンド後すぐにヒットしてしまったり、逆にバウンドからヒットまで間が空きすぎたりする。つまり、打つタイミングが早すぎたり遅すぎたりする。これは、ボールのスピードや回転を考慮してバウンドする位置をあらかじめ予測することが下手なために、適切な場所に行ってボールを待てないからだ。
このため、もうすこし前、もうすこし後ろ、と場当たり的に(初心者らしいフィードバック制御型に)対処してしまいがちだ。リズムをイメージできていないから、早くなったり遅くなったりぎくしゃくする。初心者は理想的な打ち方をイメージできないから、なかなか「フィードバック誤差学習」を行えない。(中略)
一方、熟練者の制御は無意識的だ。つまり状況がわかれば、「こういうときはこうすればいい」というフィードフォワード制御器(具体的には、小脳にある「逆モデル」)が瞬時に働き、意識などというまどろっこしくて場当たり的なシステムが働く間もなく、運動制御を完遂してしまう。
したがって、バウンドヒット法は「バウンドヒット」というリズムのみに意識を集中させ、逆に場当たり的な「フィードバック制御」からは意識をそらせることによって初心者が陥りがちな意識的な制御ではなく、熟練者のような無意識的なやり方をつかんでもらうために有効だと考えられる。
(脳は記憶を消したがるP104 より引用)
熟練したピアニストほど事前にミスをよく感知しやすいというデータがありますが、熟練者ほど事前にミスを自動で察知します。位置が違う、タイミングが違う、といった感覚的な問題を自動修正していきます。先にフレームありきで、そのフレームに合わせて脳が勝手にMAPを修正しているわけです(初心者にはMAPはありません。)
このMAP習得が上達速度であり、FWを使えばこれを普通の10倍以上に上げられます。